浮世絵の楽しみ 見立の遊び

 

現代において「見立(みたて)」とは、物事の判断や選択をする場合によく使われます。
 江戸時代の「見立」には、あるものを別のものに「なぞらえる」ことをさすほか、浮世絵では独特の意味を持っています。
 今回の展示では「見立」から、江戸時代の人々が浮世絵にみた面白さ・楽しさを味わっていただきたいと思います。

 

配役の見立

   役者絵とは、役者の描かれた浮世絵であり、多くは実際の舞台で演じた役の姿が描かれています。
 役者絵における「見立」とは、実際の舞台では演じられていない役あるいは配役を、想定して描かれているものをさします。
 そこには、なかなか顔合わせのない人気役者同士を共演させたり、上演がなくなってしまった芝居などが描かれます。
 役者や芝居好きの理想の舞台が、あたかも実現した浮世絵となっています。

『見立比良嶽雪見陣立』 歌川 貞芳 画 天保9年(1838)1月



二代目 尾上 多見蔵 … 柴田権六
二代目 中村 富十郎 … 清香姫
四代目 中村 歌右衛門 … 春柴久よし

 

 

芝居の見立

歌舞伎の「見立」とは、役者の姿を富士に「見立」る見得(「寿曽我対面」)や、髷の頭を梅干しに「見立」る場面(「仮名手本忠臣蔵」)など、あるものを別のものへ「なぞらえる」ことをさしています。歌舞伎の中には、実際のストーリー(歴史や説話・実際におこった事件)が背景にかくされている芝居があります。芝居における見立の「なぞらえる」方法を、いわば芝居の仕立てにあてはめ、時代を「見立」ている芝居を紹介します。

 

『仮名手本忠臣蔵』 多美国 画 文政頃

三代目 尾上 芙雀 … 塩治判官
初代 中村 鶴助 … 高師直

 

浮世絵の見立遊び

 浮世絵の「見立」とは、主に江戸時代においてすでに古典や歴史となっている姿を、当世風に置きかえたものをさしています。
 「見立」とは「なぞらえる」あるいは「置きかえる」一種の遊びであり、江戸時代の人々の機知やユーモアをそこに見ることができます。役者絵以外の浮世絵から「見立」を紹介します。

 

『心夢吉凶鏡』 歌川 よし藤 画

 

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